塗布工程の自動化!液体定量塗布・吐出装置(ディスペンサー)とは?
接着剤、シール材、グリス、はんだペースト――製造現場では、さまざまな液体材料を製品に塗布する工程があります。この作業を手作業で行っている現場では、「作業者によって塗布量が違う」「はみ出しによる手直しが多い」「材料を使いすぎている」といった悩みを抱えているケースが少なくありません。
こうした課題を解決するのが、液体定量塗布・吐出装置(ディスペンサー)です。ここでは、装置の基本的な仕組みから吐出方式の種類、導入によって得られる効果までを解説します。
液体定量塗布・吐出装置(ディスペンサー)とは
液体定量塗布・吐出装置(ディスペンサー)とは、あらかじめ設定した量の液体材料を、決められた位置に、決められた形状で吐出する装置です。「自動塗布装置」と呼ばれることもあります。
装置は大きく3つの要素で構成されます。
吐出部(ディスペンサー本体・バルブ)
材料を計量して吐出する心臓部
動作部(卓上ロボット・多関節ロボットなど)
吐出部またはワークを動かし、塗布位置と軌跡を決める
制御部(コントローラ)
吐出量、吐出タイミング、動作速度を連動させて制御する
扱える材料は幅広く、接着剤、シール材、液状ガスケット、グリス、はんだペースト、UV硬化樹脂、防錆油、離型剤など、粘度の低い液体から高粘度のペースト状材料まで対応できます。
手作業の塗布工程が抱える課題
自動化を検討する前に、手作業のどこに問題があるのかを整理しておきましょう。
塗布量のばらつき
作業者の熟練度や当日の体調によって量が変わり、接着強度やシール性が安定しない
位置精度のばらつき
狙った位置からずれる、はみ出す。手直しや清掃の工数が発生する
材料の使いすぎ
「足りないと不良になる」という心理から多めに塗る傾向があり、材料費が膨らむ
作業の属人化
きれいに塗れる人が限られ、その人が休むとラインが回らない
検査の困難さ
塗布量が適正だったかを後から確認できず、不良の原因究明ができない
特に見落とされがちなのが材料費のロスです。1個あたりの塗りすぎはわずかでも、年間の生産数を掛け合わせると無視できない金額になります。この観点は、投資対効果を算定する際に必ず織り込むべき項目です。
定量吐出の主な方式と特徴
「定量」を実現する方法にはいくつかの方式があり、材料の粘度や求められる精度によって適したものが変わります。
エア式(エアパルス式)
シリンジ内の材料に、一定圧の圧縮空気を一定時間かけて押し出す方式。構造がシンプルで導入コストが低い一方、材料の残量・温度・粘度の変化によって吐出量が変動しやすい
スクリュー式(オーガー式)
スクリューの回転量で材料を送り出す方式。回転数と時間で量を管理するため定量性が高く、高粘度のペースト材料に適する
プランジャー式(容積計量式)
ピストンの動きで一定容積を押し出す方式。粘度の変化に影響されにくく、高い精度が求められる用途に向く
チューブポンプ式
チューブをローラーでしごいて送り出す方式。材料が触れるのはチューブ内のみのため洗浄・交換が容易で、低〜中粘度の材料に適する
ジェット式(非接触式)
ノズルから材料を液滴として飛ばす方式。ワークとの距離を保ったまま高速に吐出でき、微少量の塗布や凹凸のあるワークに対応できる
二液混合式
エポキシやウレタンなど、主剤と硬化剤を規定の比率で混合しながら吐出する方式
どの方式が最適かは、材料の粘度とチクソ性(動かしたときの粘度変化)、要求される吐出精度、タクトタイムの3点から判断します。
塗布パターンと動作機構の組み合わせ
吐出方式が決まったら、次は「どう動かすか」です。塗布したい形状によって、必要な動作機構が変わります。
点(ドット)塗布
部品の固定用接着剤など。吐出部を固定し、ワーク側を位置決めするだけで対応できる場合もある
線(ビード)塗布
シール材や液状ガスケットなど。連続した軌跡を描くため、吐出量と移動速度の同期制御が必須になる
面塗布・円塗布
一定面積への均一な塗布。塗り重ねのピッチ設計が品質を左右する
動作機構としては、卓上型のXYZロボットが最も一般的で、小型ワークの点・線塗布であれば省スペースかつ低コストで導入できます。ワークが大きい場合や三次元的な曲面に塗布する場合は多関節ロボットとの組み合わせが有効です。既存の生産ラインに組み込むのであれば、コンベアと連動させたインライン型が選択肢になります。
導入によって得られる効果
塗布・吐出工程を自動化することで、次のような効果が期待できます。
品質の安定
塗布量と位置が毎回同じになり、接着不良やシール漏れといった不良を抑えられる
材料費の削減
必要最小限の量で塗布できるため、塗りすぎによる材料ロスがなくなる
省人化・工数削減
塗布作業そのものに加え、はみ出しの拭き取りや手直しの工数も削減できる
後工程への不良流出防止
塗布後に画像検査を組み合わせれば、塗り忘れや量の過不足をその場で判定できる
データの蓄積
吐出量や吐出回数を記録できる仕様にしておけば、不良発生時の原因究明やトレーサビリティに活用できる
特に、画像検査・外観検査の自動化と組み合わせて「塗布して、その場で確認する」構成にすると、品質保証のレベルが大きく変わります。
導入前に確認しておきたいポイント
材料の特性
粘度、チクソ性、硬化時間、可使時間(二液の場合)。同じ材料でも季節による温度変化で挙動が変わるため、温調の要否も確認が必要です
ワークの位置決め精度
装置がいくら正確に吐出しても、ワークの位置がばらついていては意味がありません。治具の設計は装置本体と同じくらい重要です
タクトタイム
現行の生産数に対して吐出速度と動作速度が間に合うか
メンテナンス性
ノズル詰まりへの対応、洗浄の手順と頻度、消耗部品の交換のしやすさ
将来の品種変更
扱う製品が増えたときに、プログラムの切り替えだけで対応できる構成になっているか
より詳しい検討の進め方は、自動塗布装置の導入前に検討すべきポイントもあわせてご覧ください。
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